新しい資本主義に新味なし「昔の成長戦略に先祖返り」 実行計画改訂
政府は6日、岸田政権の看板政策「新しい資本主義」実行計画の改訂案をまとめた。手厚い支援策で半導体や蓄電池の投資を誘い、スタートアップが活躍しやすい環境を整える。ただ、首相が当初掲げていた分配への言及はほとんどなく、旧来型の産業政策に軸足を置く内容となった。
政権が昨年初めてまとめた実行計画を改訂した。目玉としたのは、工場などの建設地に日本を選んでもらうための対策だ。半導体、蓄電池、バイオ技術を活用したものづくり、データセンターの四つを戦略分野と定め、税制や予算で「世界に遜色ない水準」の支援を検討するとした。
とりわけ半導体や蓄電池は、かつて日本が先端を走っていたが、いまでは世界に差をつけられている。世界的半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)が熊本に進出するのをモデルに、海外企業の投資を呼び込み、経済の活性化だけでなく、重要物資を国内で調達できるようにする狙いもある。
スタートアップ育成策の具体化も図る。海外のトップ大学の力を借りて起業家育成をめざすプログラムをつくるほか、資金の出し手であるベンチャーキャピタルに官民ファンドを通じて公的資金を投じ、起業家がお金を調達しやすくする。外国人起業家がビザを取得しやすくするよう、必要な手続きも改める。
改訂案は与党の協議を経て内容を修正し、6月中旬に閣議決定する。(米谷陽一)
「既視感ある」との指摘に気色ばむ官邸官僚
「これまでの政権が、これだけの労力をかけたことはなかった」
新しい資本主義実行計画の改…