立憲、入管法改正案めぐり法相問責提出 「人権意識欠如、甚だしい」

立憲

里見稔 久保田一道
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 通常国会会期末まで2週間あまりとなり、立憲民主党が政権との対決姿勢を強めている。6日、難民認定の申請中でも外国人の送還を可能にする入管難民法改正案をめぐり、所管する斎藤健法相の問責決議案を参院に提出。改正案の採決予定だった法務委員会はまたも取りやめとなり、本会議での採決は9日以降にずれ込む見通しだ。

 与党は7日の参院本会議で問責決議案を否決し、今週中にも改正案を成立させる構えだ。だが、参院の審議中に入管行政をめぐる問題が次々発覚しており、立憲は「法改正の前提が崩れた」と批判を強める。

 法務省の「難民審査参与員」(111人)を務める柳瀬房子氏が2021年の国会で、長年審査した中で難民に該当する人はほぼいなかったとの主張を展開。政府は改正案の必要性を説明する際にこの発言を引用してきた。ところが、参院審議では、審査案件が柳瀬氏らごく一部の参与員に集中していることが発覚。立憲はこうした実態に疑問を呈し、難民認定を政府から独立した委員会に担わせる対案を示すなどしてきた。

 また、大阪出入国在留管理局の女性常勤医が酒に酔った状態で収容者を診察した疑いがある問題も浮上。医師は今年1月に診療から外れ、同局の常勤医がゼロになったが、4月に公表された政府資料は「1名」と記載。「実態と異なる説明だ」と追及する。

 与党は当初、1日に法務委での採決を目指していたが、立憲が委員長解任決議案を提出して抵抗。翌2日に否決され、6日に再び採決が予定されていた。立憲の斎藤嘉隆参院国会対策委員長は6日、記者団に「国際的な人権意識の欠如が甚だしい法案だ」としたうえで、「毎日のように新たな事案が明らかになっている。1日でも長く成立を遅らせ、廃案に向けて取り組みたい」と述べた。(里見稔、久保田一道)

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