通訳なしで議論に臨む その理由は? サントリー新浪社長の英語術
英語での討論やスピーチを積極的にこなすサントリーホールディングスの新浪剛史社長(64)。学生時代と就職後の2度の米国留学経験をもち、身につけた英語力を維持しようと、今も努力を続けています。準備に時間がかかっても、「通訳をはさまずリングにあがる」ことにこだわるのはなぜなのか。どんな工夫をしているのか。「新浪流・英語スピーチ術」を聞きました。
――新浪さんが英語で発信されている場面を何度か目にしました。帰国子女なのですか。
帰国子女でもないし、アメリカンスクールに通っていたわけでもありません。日本の公立校で育ちました。在日米軍向けの「FEN」っていうラジオ放送があって、すごく速いスピードで会話が流れるんですけど、高校や大学のときにそれを聞くなどして独学で勉強はしていました。本格的に海外で生活したのは、大学3年生だった1979年に、アメリカに交換留学で行ったのが初めてです。
TOEFLに大苦戦からハーバードへ
――留学はどんな経験でしたか。
大学の交換留学制度でスタンフォード大学に行ったのですが、いまと違って当時は交換留学のような制度が多くはなかったので非常にいい機会でした。そのときは修士号を取るわけでもなく、米国の雰囲気を味わうようなものだったのですが、いろんな刺激を受けました。現地に友達もできて、いまだに付き合っている人もいます。もっと米国で勉強したいと、やる気に火がついて、今度は修士号を取りに行こうと(三菱商事に)就職してから再度の留学を目指して勉強しました。
――そして1991年にハーバード大のビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得されました。
1次の筆記試験として、英語力をみるTOEFL(トーフル)や、数学などの適性試験GMAT(ジーマット)を受けましたが、TOEFLはたいへん苦戦しました。ハーバードのビジネススクールに行くには満点近くを取らないと足切りになってしまうので、すごく勉強しました。
今は勉強の仕方も違うのでし…