Z世代、日本版には「違和感」 在米ライター竹田ダニエルさんの問い

有料記事

藤えりか
【動画】竹田ダニエルさんインタビュー
[PR]

 Z世代――。「社会問題に声を上げる、20代後半ぐらいまでの若者」と、日本でも注目されています。ですが、発祥の地・米国の実像は、日本のイメージとは少々異なるようです。1997年生まれで、「米国に住むZ世代」として発信を続けるライターの竹田ダニエルさんに、SNSネイティブの日米の若者の違いについて聞きました。

記事で問いかけ→皆さんの声→竹田さんのRe:

竹田ダニエルさんが動画で問いかけた「あなたが今、社会に対して感じている違和感は何ですか? それに対して当事者としてどう声を上げますか?」。みなさんならどう答えますか。記事の末尾にある「おたよりフォーム」から書き込んでみてください。

 ――米国のZ世代による情報発信や、支持するファッション、何にお金を使う傾向があるか。リアルな姿を発信していますね。

「平均が一番」の日本、「あえて反対」米国 決定的違い

 まず、日本でも「Z世代」を使うようになったことには違和感があります。日本は世代のくくられ方が違うのに、「Z世代」という言葉だけが輸入されている。「みんなと一緒、平均が一番」とする日本と、あえて反対の意見を言う人が重宝される米国と、若者への教育制度も決定的に違いますよね。

 米国では年代ごとに、ベビーブーマー世代(1946~64年生まれ)、X世代(60年代半ば~80年ぐらいの生まれ)、ミレニアル世代(80年代~90年代半ば生まれ)と特徴づけ、その末にZ世代が生まれています。

 日本にはそうした系譜がないし、ベビーブーマーも年代としては米国とはズレがある。

 日本では「ゆとり世代」「氷河期世代」のように、「社会の変化によって影響を受けた人たち」として世代をくくりますよね。教育も就職活動もどちらかと言うと単一的で、ほとんどの人が同じシステムを経験しているだろうという考え方が背景にあると思います。

マーケティングからの「若者の声を聞いていますよ」

 マーケティングの観点で、上から下に向かってトレンドを作ろうとする意識も感じます。なんとなく海外の風をふかせつつ、若者の文化をある意味ちょっと盗用しつつ、いかにも「企業が若者たちの声を聞いていますよ」と。Z世代がどういう社会的影響を受けてこうなっているのかという議論がないままだと、本質的ではないと思うんですよね。

 ――米国のZ世代を、当事者としてどうとらえていますか。

 現在の資本主義や既存のシステムが機能せず、うまくいかなくなっているという価値観を全体的に持っている印象が強くあります。

 Z世代の間で起こった変化としては、多くの若者がラジカルで左派的な思考を抱くことにちゅうちょせず、環境アクティビズムにも熱心、環境問題や人種差別、ジェンダー・セクシュアリティーに関する平等など社会問題に声を上げていることが大きい。

 職場や仕事をめぐっても、「ワーク・ライフ・バランスよりも仕事に忠誠」とか、「自分のライフを削ってでもワークに専念する」といった考え方はもう意味がない、と考える人も多いです。

「米国もよくない」 認めたうえで変化を起こす愛国心

 自分自身、アジア系アメリカ人としてとんでもない思いをしてきたし、米国もシステムとしてすごくひどいところがある。「米国はよくない」と思っている人が米国にもいっぱいいて、それを認めたうえでポジティブな変化を起こそうというのが愛国心だというふうにもなりつつある。日本だと、「日本によくないところがある」と言うことすらいけないという意見がネットで目立ちますよね。それも日米の大きな違いだと思います。

 ――米国で「資本主義がうまくいかないと考える世代」が生まれていること自体、第2次大戦後の米国史を考えると驚きです。

 Z世代は冷戦を経験していま…

この記事は有料記事です。残り3087文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

Re:Ron

Re:Ron

対話を通じて「論」を深め合う。論考やインタビューなど様々な言葉を通して世界を広げる。そんな場をRe:Ronはめざします。[もっと見る]

連載ネット世界とメディア 立ち止まって考える

この連載の一覧を見る