秋葉原事件から15年 取り押さえた警察官、今も残る元死刑囚の一言
増山祐史 吉沢英将
東京・秋葉原で15年前の日曜日、歩行者天国にトラックが突っ込み、17人が殺傷された。加藤智大(ともひろ)・元死刑囚の刑は昨年7月に執行されたが、事件に直面した人たちは、6月8日を胸に抱えながら、それぞれの15年を生きてきた。
梅雨入りの時期、曇り空の日曜日だった。2008年6月8日。蔵前署地域課の巡査長だった清水真さん(54)=現・巡査部長=は、帰宅途中に秋葉原に寄った。泊まり勤務明け。ぼんやりと歩行者天国を見つめ「相変わらず、すごい人だかりだな」と思った。
昼食のファストフード店を出た時だった。数十メートル先の路上で2人の男が向かい合っているのが見えた。
細身の青年が片手に何かを持ち、振り回すようにしていた。制服姿の警察官は距離をとり、警棒を青年に向けていた。「泥棒でも追いかけているのか」と思ったが、何か様子は違った。
2人は距離を保ちながら、細い路地に入っていく。後を追うと、警察官が拳銃を構えて「武器を捨てろ」と呼びかけていた。ただ事ではないと瞬時に理解した。
「最初からそのつもりだったのか」 署の一室、男の答えは
青年は手に持つ刃物を放り出…