ど派手に客を魅了して15年 名古屋の女性チンドン屋が背負う覚悟
名古屋を拠点に活動するプロの女性チンドン屋「べんてんや」が、旗揚げ15周年を迎えた。コロナ禍で出番は減るなか、SNSも活用して、ど派手な衣装と髪形で大衆を驚かせる。名古屋市中区の大須演芸場で6月17日に記念公演を開く。
♪チンチン、ドンドン、チン、ドンドン
リーダーのスージーさんは名古屋市出身。金城学院大学モダンアンサンブル部時代にサックスを始め、女性だけのバンドを結成。派手な衣装でイベントやライブなどに出演して、観客からのひと言が印象に残った。
「チンドン屋みたいだね」
鼓笛隊で太鼓をたたき、盆踊りが好きな子どもだった。バンドの休止後、イベントでチンドン屋のようにサックスを吹いてほしいと頼まれた。沸いた客席を見て、「もしやチンドン屋に向いているのでは」と興味を持つようになった。
2008年、工業部品の商社に勤めながら、大学の部活動の後輩うっしーさんと「べんてんや」を結成した。
「最初の舞台は、潮が引くように客が席を離れていき、散々な出来だった」
音楽仲間らに声をかけてメンバーを増やし、アマチュアのチンドンコンクールで優勝するなど実力を磨いた。
トレードマークは、華やかな着物にカラフルなウィッグ、そして花の髪飾り。懐かしさとモダンが共存するチンドンサウンドが特徴だ。
ちょうど愛知県内ではプロのチンドン屋が不在で、イベントでの盛り上げ役に加え、企業からの宣伝の仕事も増えていた。11年5月、スージーさんは会社を辞めてチンドン屋一本で勝負する覚悟を決めた。
しかし、師匠からは「生活できないぞ」と反対された。大阪が本拠の「ちんどん通信社」の林幸治郎さんだ。それでも熱意が伝わり、最後には「本気なら応援する」と言わせ、プロデビューを果たした。
「べんてんや」の活動は国内だけにとどまらない。15年のイタリアの「ミラノ万博」をきっかけに、イギリス、フランス、ベトナムから引き合いがあった。
19年には知人からの依頼でウクライナであったジャパンフェスティバルにも参加。スージーさんは「親日家が多くて驚いた。盆踊りを一緒に踊ったのがいい思い出です。一日も早く平和が戻ることを願うしかない」。ロシア軍による侵攻後は、演奏会場などで募金活動もしている。
同じ19年の秋には1カ月間…
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