佐世保市長が「当選礼状」、支援者に送付 公選法に抵触のおそれ

土居貴輝 奥正光
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 4月の長崎県佐世保市長選で初当選した宮島大典市長(60)が5月、市内の団体などに、市長選の際の支援のお礼を記したあいさつ状を送っていたことが分かった。公職選挙法は選挙後に選挙区内の有権者へ当選や落選に関するあいさつ目的の文書を送ることなどを原則禁じている。県選挙管理委員会書記室は「内容的に公選法に抵触するおそれもある」と指摘している。

 朝日新聞が確認した文書は、時候のあいさつに続いて「このたびの佐世保市長選挙に際しましてはひとかたならぬご支援とご厚情を賜り心より御礼申し上げます」「お陰さまで5万4073票の得票をいただき当選の栄誉を勝ち取ることができました」と書き出され、「令和5年5月 佐世保市長 宮島大典」と結ばれている。

 印刷された文書は1枚で、宮島氏の事務所の連絡先が印刷された封筒に入れられて5月下旬に支援者に送付された。

 県選管によると、公選法は選挙後に選挙区内の有権者に対し、当選や落選に関するあいさつを目的とした戸別訪問、文書の配布、掲示などを禁じている。例外として、自筆の信書や、支援者らから当選祝いや落選見舞いなどを受け取った場合には、その返礼をホームページに掲示したり、電子メールで送ったりすることなどは認められている。だが、返礼に該当しない場合、不特定多数に印刷された文書を送ることは禁じられている。

 文書には「これも偏(ひとえ)に心を一つにして戦ってくださった皆様ひとりひとりのお力添えの賜物(たまもの)であり深く感謝いたします」と書かれており、市長選の際の支援へのお礼の文面が続く。支援者から受けた個別の当選祝いに対する礼状ではなく、不特定多数に向けた内容になっている。

 県選管の担当者は「就任のあいさつだけでなく、選挙の当落に関する言及がある場合は公選法に抵触するおそれがある。支援者からの当選祝いに対する個別の返礼でなく、不特定多数向けの印刷文書であれば、公選法が禁じている『選挙後のあいさつ』に該当する可能性が高い」と指摘する。

取材に宮島氏の事務所は

 朝日新聞は今月2日以降、宮島氏の事務所に対し、計10回以上にわたって、文書を送付した経緯について説明を求めたり事務所側から指定された担当者にも取材を申し込んだりしたが、6日夜までに回答がなかった。

 宮島氏は県議を経て衆院議員を2期務めた後、2019年に県議に復帰。今年2月に県議を辞職し、4月の佐世保市長選に立候補して初当選した。(土居貴輝)

二十数人を検挙・摘発 大分県警

 今春の統一地方選や参院大分選挙区補選をめぐり、大分県警が公職選挙法違反の疑いで二十数人を検挙・摘発したことが関係者への取材でわかった。

 関係者によると、二十数人が検挙・摘発され、同法違反の投票干渉や買収のほか、投票偽造などの疑いがもたれているという。県警は近く取締本部を解散するとみられる。

 県警は今年2月、県警本部と県内15署に事前運動取締本部を設置。3月には選挙違反取締本部に切り替え取り締まりにあたっていた。(奥正光)

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