国連事務総長、ウクライナのダム破壊は「戦争が与える恐ろしい代償」

ニューヨーク=遠田寛生
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 国連のグテーレス事務総長は6日、ウクライナ南部ヘルソン州ノバカホウカのダムが破壊されたことを受け、米ニューヨークの国連本部で緊急会見をした。ダムの破壊を「大惨事」と表現し、「民間人や重要な民間インフラに対する攻撃は止めなければならない」と訴えた。

 破壊の原因について、ウクライナ軍は「ロシア側による爆発」、ロシア軍は「ウクライナ側の攻撃」と非難し合っており、詳細は明らかでない。グテーレス氏は、国連が独自に調査する方法を持っていないと説明しつつ、「はっきりしているのは、これもロシアのウクライナ侵攻による壊滅的な結果だ」と述べた。

 これまでに、国連が確認しているだけで、ヘルソン市やドニプロ川沿いにある80ほどの街や村で影響が出ているという。グテーレス氏は「少なくとも1万6千人が家を失い、さらに何千人もの人々が安全で清潔な飲み水の供給を脅かされている」とした。また、ダムの水が欧州最大規模のザポリージャ原発の冷却にも使われていることから、同原発への影響も懸念した。

 国連は今後、人道支援団体やウクライナ政府と連携しながら、現地の支援を行う。グテーレス氏は「今日の悲劇は戦争が人々に与える恐ろしい代償を示す新たな例となった。苦しみの水門は、1年以上にわたってあふれ続けている。それを止めなければならない」と主張した。(ニューヨーク=遠田寛生)

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