永田和宏さんと山極寿一さんが科学を語る 生命誌研究館30年で集い

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佐々波幸子
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 生命の歴史や関係性を読み解く「生命誌」をテーマに、企画展や映画制作などを通した研究成果の表現にも取り組むJT生命誌研究館(大阪府高槻市)が創立30周年を迎え、5月下旬に東京都内で「科学の未来と生命誌」と題する集いが開かれた。細胞生物学者で歌人の永田和宏館長は「サイエンスの面白さを社会と共有する、これが生命誌研究館の一つのミッション」としたうえで、「サイエンスを楽しんでもらう場であると同時に、新たな問いを発掘する場でもありたい」とあいさつした。

 ゲノム(全遺伝情報)に基づき、生命の歴史や関係性、多様性を読み解く生命誌という研究領域を提唱した中村桂子名誉館長は、同館のシンボルである「生命誌絵巻」を紹介。人は特別な生き物ではなく、38億年前の海に誕生した細胞を祖先とする地球の生き物のひとつとして捉えた扇形の絵画だ。中村さんは、自らの朗読と2台のピアノで、生き物の進化の道のりを伝える生命誌版「ピーターとおおかみ」も披露し、会場を沸かせた。

 2020年秋まで京都大学総長を務めた山極寿一総合地球環境学研究所所長と永田さんとの対談では「問い」が一つのテーマになった。永田さんは「大学の一番大きな役割は、ここまでは分かっているけれど、この先はまだ答えが見つかっていない、と学生に伝えること。でもいまの若い人は分からないことに耐えられない。問いと答えの間のプロセスを短くしたいと思っている」と発言。

 ゴリラの研究の第一人者とし…

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