講義は「野球」? 初出場で8強の国立大 一時は休部、勝負は成長率
(7日、全日本大学野球選手権 鹿屋体育大5―1近大)
初出場の鹿屋体育大(九州南部)が、過去4度優勝の近大(関西)を破り、準々決勝へ進んだ。国立大の8強入りは2017年の和歌山大以来の快挙。部員不足で休部した時代もあった。部員のほとんどが公立校出身のチームにはモットーがある。
正しい努力をして勝つ――。
エースの森田希夢(2年・済々黌)は、甲子園常連の強豪校出身の好打者が並ぶ近大相手に、4安打1失点で完投した。
4種類の直球、近大を幻惑
最速144キロの直球は4種類もある。打者を見ながら、腕の振る角度と強さを組み替え、90キロ台のカーブも織り交ぜてタイミングを外す。味方打線は11安打を浴びせた。
「うちは『成長率』で勝負するんだ」
藤井雅文監督(34)の口癖だ。試合で負けた時にこそ言う。
キャンパスは九州南部の鹿児島県鹿屋市。04年アテネ五輪の競泳で金メダルを獲得した柴田亜衣さんに加え、バレーボールや自転車のオリンピアンを輩出した。
ただ、1984年創部の野球部は苦難の歴史を歩んできた。
90年代に入試の実技科目に野球が含まれていないことから、部員不足に陥った。99年から02年にかけて休部した。指導者が継続してかかわることはなかった。
「高校は投げ込むだけだった」と笑うエース
転機は15年。キャンパスに最新鋭の設備を備えた「スポーツパフォーマンス研究センター」が新設されたのだ。野球部にも役立てようとその前年、「いつか母校に貢献したい」と考えていたOBの藤井氏が監督に就任。投手の球の回転数や打者の打球速度を測る「ラプソード」や、20台以上のカメラで動作解析する「モーションキャプチャー」を、全国に先駆けて活用したという。
「高校の時はただ投げ込むだ…