ワースト脱出した世田谷区で何が? 待機児童ゼロ、3年でストップ

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中井なつみ
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 東京都世田谷区で今年度、4年ぶりに待機児童が出たことが区への取材でわかった。かつて待機児童数が全国でもっとも多く、保育園探しの激戦区としても知られていたが、ここ3年は「待機児童ゼロ」が続いていた。区は「地域や年齢で、保育需要に偏りが生じていることが原因の一つ」とみている。

 区によると、今年4月1日時点での待機児童数は10人。2010年代半ばまでは1千人以上が続き、17年度まで5年連続で全国最多だったが、施設整備を急ピッチで進めた結果、20年度から3年連続で0人となっていた。

 今年度の待機児童10人はいずれも1歳児で、砧(きぬた)地域と玉川地域に集中。移転統合された保育園の開設が予定よりも遅れたり、大型マンションの建設があったりした地域だという。

 施設整備と想定以上のペースで進む少子化に加え、20年からのコロナ禍をきっかけに預け控えや都外へ転出する子育て世代が増えたことで、地域によっては欠員が出る園も目立つようになった。育児休業制度の浸透によって0歳児を預けたいというニーズが減り、1歳児クラスへの申し込みが増えるなどといった変化も出てきているという。

■少子化で欠員でも………

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2023年6月10日6時30分 投稿
    【視点】

    2010年代半ばに世田谷区の待機児童が全国最多を記録していた背景には、まとまった敷地がなく、ビルの一室も相場が高騰していて認可保育施設の新設が困難という状況があった。2020年以降の「0」という数字の背景には、空き地や空きスペースのある建物

    …続きを読む