5類移行直前…新調されたアクリル板 人類学者が「不思議」に迫る

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連載「コロナ禍と出会い直す 磯野真穂の人類学ノート」(第6回)

 先日友人から、職場の食堂のパーティションが4月より新しくなったという連絡が届いた。

 昨年度までは手作りのものが席の前と左右に置かれていたのだが、それらが新品のアクリル板に取り換えられたのだという。

 手作りのパーティションについて友人はかねて、「意味がないし、精神衛生上も良くないから外したい」と進言をし続けていた。しかし、「もう少し我慢して」と断られ続け、それからの購入とのことである。

 新品の購入は、「5類移行後も感染症対策をしっかりやっていく」という組織の姿勢の表れであるそうだ。

 コロナ禍以降、すっかり日常の風景となり、場所や場面によっては、いまだに置かれ続けるパーティション。

 しかし、これらパーティションは一体なんだったのだろう? 意味がないのでは?と思った人は私だけではあるまい。

 連載6回目となる今回は、行政指導と科学コミュニティーからの発信の観点からアクリル板の不思議に迫ってみよう。

コロナ禍当初、推奨されたパーティション

 初めての緊急事態宣言が発令された2020年4月当初、段ボールなどを用いた手作りのパーティションがオフィスや学校などに次々と設置された。この様子は朝日新聞紙面でも繰り返し紹介されている。

 パーティション設置は当初、専門家や行政も推奨した感染対策であった。

 例えば、新型コロナウイルス

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年6月9日11時30分 投稿
    【視点】

    スポーツの取材現場に足を踏み入れて、もうかれこれ四半世紀が経ちます。一つだけ、ハッキリ言えることがあります。強いチームって、PDCAを回し続けるのがうまいってことです。 例えばサッカーなら「練習→試合」の数日~1週間のサイクルを、シーズン

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