広島市教育委員会がつくる市立小中高校向けの平和教材の改訂でこの春、漫画「はだしのゲン」のコマの引用がなくなり、別の内容に差し替えられた。その是非をめぐり、政治の圧力を疑うような意見などがSNS上で飛び交ったが、改訂に関わった教育関係者の証言や会議の議事録からは、教員らが抱えていた悩みが浮かび上がる。
物議を醸したのは、市教委が2013年度から取り組む「平和教育プログラム」の教材のうち小3の部分だった。
「家族愛」や「生命の尊重」を学ぶ時間とされ、主人公のゲンたちが身重の母親のため食べ物やお金を得ようと近所の庭のコイを釣り、街角で浪曲を歌う場面のコマとあらすじが掲載されていた。父親や姉弟が家の下敷きになり、家族を失う場面もあった。
「こんな時代に生まれなくてよかった」。ある小学校教諭は、児童たちのひとごとのような感想に違和感を抱いた。
教諭は、19年に始まったプログラムの検証や教材改訂の会議に、他の教諭や大学教授らと参加した。
《遠い昔の出来事として、「そうだったのか」「つらかったんだな」で終わってほしくない》
議事録からは、授業の意図が伝わらないもどかしさがにじむ。
「浪曲、理解が難しい」 「とても身近な教材」 教員たちの声
他の参加者からも、漫画のコマを使って教える難しさを指摘する声が上がった。
《浪曲でみんなを明るくしよ…
- 【視点】
>「中沢さんが渾身(こんしん)の力を込めた作品。中途半端な抜粋ではなく、課題図書などの形で全編をきちんと読んでほしい」 上記のご発言自体が「抜粋」であるはずなので、コメントを入れづらい部分はあるのですが、「はだしのゲン」の代わりに掲載
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