赤く腫れた顔、絶望した少女は私だった 「ゲン」と重なる被爆の傷痕

有料記事核といのちを考える

岡田将平
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 故中沢啓治さんが自身の被爆体験をもとに描いた漫画「はだしのゲン」には、原爆で体にも心にも大きな傷を負った人たちが登場する。顔に熱線を浴びて絶望する少女――。広島で被爆した阿部静子さん(96)は、少女の姿に自分を重ねる。

 「あたしの顔はどんなになっているの? しりたいわ」「カガミをもっていない?」

 原爆投下で廃虚となった街で主人公のゲンに問いかける少女。立派な踊り子になるのが夢だった。ゲンから「きれいだよ」と励まされるが、はんごうの水を飲もうとした際、水面に映った焼けただれた顔に嘆く。

 「もうおしまいだ あたしの夢がきえたよ~~」

     ◇

 1945年8月6日。阿部さんは爆心地から約1・5キロで被爆した。空襲時に火災が広がるのを防ぐ「建物疎開」の作業中のことだ。熱線を浴び、ひどいやけどを負った。その痛みに苦しみながら自宅で療養したが、家族は鏡を見せてくれなかった。顔はどうなっているのだろう――。

 ある日、家族がいない隙を見…

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