「13年たっても苦しい。わかりますか」被害者父は被告の父に問うた
神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さん(当時16)が殺害された事件で、殺人罪に問われた当時17歳だった被告の男(30)の裁判員裁判の初公判が7日、神戸地裁(丸田顕裁判長)であった。被告は堤さんを刺したことは認めたうえで、「殺すつもりはありませんでした」と殺意を否認した。弁護側は被告が心神耗弱だったとも主張し、争点は殺意と刑事責任能力に絞られた。
起訴状によると、被告は10年10月4日夜、同区筑紫が丘4丁目の路上で、知人の女子生徒と話をしていた堤さんの首などをナイフで刺して殺害したとされる。
検察側は、青森県で高校に通っていた被告が交際相手を巡るトラブルなどで退学し、事件の半年前に神戸の祖母宅に移り住んだと指摘。交際相手への怒りを募らせる中で、交際相手が好むような雰囲気の若者に憎しみを抱き、事件当日、路上で堤さんを見かけて殺害に至ったと主張した。
検察側は争点について、「(鎖骨付近を)多数回突き刺すなどの行為は死亡させる危険性が高いとわかっていた」として殺意があったと指摘。精神科医の鑑定結果などから「完全な刑事責任能力はあった」とした。
弁護側は、被告は当時、幻聴がきこえたり、街中で周りから見られていると感じたりするなど「普通の精神状態ではなかった」と主張。刺したのは「自分に迫ってくる同年代の人たちを退散させたい気持ち」からで、殺意はなかったとした。(黒田早織、杉山あかり)
被告はスーツにネクタイ姿
神戸市北区で2010年10…
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