宿題を「こなす」若者たち…なぜそうなるのか リロン編集部から
「Re:Ron(リロン)」では、朝日新聞デジタルの記事に「コメントプラス」機能で有識者がコメントした内容を深掘りし、詳しい論考としてお届けする「Re:Ron×コメントプラス」を新たに始めています。
連載記事「宿題が終わらない」の第1回「寝ずに宿題する子どもたち 動画編集に理科の考察…『探究型』が重い」(5月25日配信)では、新しい学習指導要領が「探究的な学び」を重視する流れの中で、手間がかかる宿題に追われる中高生の姿などを取り上げました。この記事に社会学者の藤田結子さん=写真=は、複数の大学での指導経験などを踏まえ、探究型の課題への学生の取り組み方が「探究より提出が目的になっている」などとコメント。なぜそうなるのか、藤田さんに加筆をお願いしました。
藤田さんは論考で、少なからぬ大学生は探究型の課題を「タイパ(時間対効果)よくこなすこと」はできるが、「何かを探究すること」自体には消極的にみえると考察。探究型の課題が最も多く出る授業といえるゼミでも、熱心に研究する学生がいる一方、就職対策でゼミに入り、就職が決まると卒論を書かずにやめてしまうケースを聞くとも指摘しました。
学費のため働く学生もいるなど全てが個人の問題ではないとしながら、その一つの要因として、幼い頃から習い事や宿題に追われ、興味があることを見つけて没頭する時間を与えてもらえなかったことが影響しているのではと指摘。探究型の宿題や課題をする意義は本来あるとして、時間が足りない状況で無理にやらせるのではなく、子どもや若者が「もっと時間にゆとりのある生活をできる社会であってほしい」としています。
大人と同じように、時間に追われる子どもたち。社会全体の問題として捉える論考です。今後も、「Re:Ron×コメントプラス」から生まれる「論」の世界にご注目下さい。(菅光)
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