我が子守れなかった日だからこそ 事件から22年、娘思い、命見守る

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田中祐也
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 22年前の6月8日、大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で、児童8人の命が奪われた。長女の優希(ゆき)さん(当時7)を失った本郷由美子さん(57)=東京都在住=は今年、事件後初めて当日を東京で過ごす。下校する児童を見守る予定だ。親子の笑顔を見て何げない平穏をかみ締める。そんな一日にしたいと願う。

 由美子さんは4月から月に数日、都内の小学校で1年生の児童たちの学校生活を支援している。「子どもたちに接したいという思いがあって。学校の安全管理の現状も知りたかった」

 教室に入ると、子どもたちが「せんせい、せんせい」と甘えてくる。記憶にある優希さんと同じぐらいの子たち。「1年生ってこんなに小さかったんだ」と改めて驚く。

 事件の後、なぜこんな人生を生きなければいけないのか、生きる意味があるのか、そんな問いに向き合い続けてきた。喪失感で心が壊れそうな時、グリーフ(悲嘆)ケアと出会った。信頼できる人に悲しみを打ち明け、つながることで、心の平穏を取り戻していく。由美子さんも、時間をかけて、悲しみと向き合い寄り添って生きていこうと思えるようになった。

 その歩みを昨年10月、一冊…

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