3番起用の前川右京が複数安打 阪神に感じる「育てながら勝つ」余裕

大坂尚子
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(7日、プロ野球 阪神タイガース11―3東北楽天ゴールデンイーグルス)

 若い力が出てきた。三回1死二塁。阪神の前川(まえがわ)右京が左打席に入り、1ボールから144キロツーシームを思い切り引っ張った。二塁強襲の内野安打で好機を拡大し、5番佐藤輝明の3点三塁打につなげた。

 この日、不調のノイジーに代わり、3番に抜擢(ばってき)された。一回にも中前安打を放っており、前夜の七回のプロ初安打から3打席連続でHランプをともした。「打てるところをしっかり打てた」。そううなずいた。

 奈良・智弁学園高時代から注目されたスラッガーだった。1年の夏から4番を打ち、3年だった2021年夏に甲子園で準優勝した。その秋のドラフト4位で入団。2年目の今季、2軍で打率3割6分、15打点と結果を残し、指名打者制がある交流戦に入ったタイミングで1軍初昇格した。

 高校時代にかけられた言葉を胸に刻む。高3春の選抜大会準々決勝。安打を打てずに敗れ、人目をはばからず涙を流した。その姿を見た兄に言われた。「試合に出て苦しむのは全然大したことはない。メンバーにも入れず苦しんでいる選手たちの思いを考えて野球をやれ」。「俺が、俺が」という力みが消えた。

 プロの世界でも同じ思いなのだろう。「個人よりチーム。どうしたら勝利に加わっていけるのか、考えて野球をしていきたい」と語ったことがある。

 そんな20歳の3番起用について「だいぶええ感じになってきとったから」と岡田彰布監督。5日は本拠で5時間超の試合に引き分け、仙台に移動した6日はあっさり敗れた。重くなりかけた空気を振り払う大勝で2位DeNAとのゲーム差は今季最大の6・5に。育てながら勝つ余裕を感じる。(大坂尚子)

 佐藤輝(神) 三回に3点三塁打。「みんなでつないでつくった満塁のチャンス。まずは先制点を取りたいと思っていたのでよかった」

 西勇(神) 六回途中まで2失点。「梅野がうまくリードしてくれたおかげで、いい流れで中盤まで投げられた」

 岡田監督(神) 先発メンバーを大幅に変更して大勝。「見事的中したな。代役というか、代わりが、今日はみんな打ちよったから」

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