少子化財源に待ち受ける難路 負担増の前例、世論で見ると

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磯田和昭
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 昨年生まれた日本人のこどもは、統計開始後初めて80万人を割り込み、少子化対策は待ったなしです。こうした中、岸田文雄政権は少子化対策の安定財源の具体化を年末に先送りしました。早期の衆院解散・総選挙もとりざたされ、世論が負担増に反発するのを避けたかったのでしょうか。実際、社会保障にからむ制度改革は、ときの政権の体力を奪うことがこれまでも少なからずありました。

 第2次安倍晋三政権では消費税率引き上げの財源を活用して、保育園などの待機児童の解消を進めました。一方、岸田首相は少子化対策の財源として、消費税をはじめとする増税を早々と封印しました。

 有力案として浮上しているのは、高齢者や企業も負担する医療保険の保険料といっしょに「支援金」を集めるというものです。「支援金」で1兆円を集める場合、国民1人あたりの平均負担額は月に500円程度との試算も報道されており、薄く、広く網をかけようという狙いがうかがえます。

 医療保険のうち、75歳以上…

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    三輪さち子
    (朝日新聞政治部記者)
    2023年6月8日18時0分 投稿
    【視点】

    少子化対策はいいけれど、負担が増えるのは「よくない」と考えている層が多いことを示す世論調査。当然といえば当然かもしれません。こうした世論を意識して、給付の議論が先行し、財源は先送りといういまの政治状況を招いています。 しかし、私はこうも思

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