難民問題、感覚で語る人多い日本 イタリアでの経験に思う入管法改正
難民申請中の人は本国に送還しない、という決まりを見直すことを柱とした「入管難民法改正案」が8日、参院法務委員会で可決された。助けを求めて日本に逃れて来た人たちに、私たちはどう対応するのか。日本における難民受け入れの課題は何か。イタリアでも難民支援活動の経験があるNPO法人「難民支援協会」の山田光樹さん(29)に聞いた。
――どうして難民をめぐる課題に関心をもったのですか。
高校生のとき、交換留学でイタリアに行きました。アジア人の自分によくしてくれた現地の同級生たちが、路上でものを売っているアフリカ系の人たちに冷たい態度をとっていた。そのギャップに違和感があり、難民を研究のテーマに選びました。
研究では実際に難民が暮らす施設を手伝いながら、参与観察をするという文化人類学の手法をとりました。難民と受け入れる側の職員の関係性に関心がありました。
――欧州では2015~16年に「難民危機」がありました。
当時は大学3年生でイタリアに留学しており、難民支援のボランティアを始めました。西アフリカのナイジェリアやマリ、ギニアなどサハラ砂漠の周辺地域では、イスラム過激派が拡大し治安が悪化。仕事を失ったり、政党間の対立や性的少数者であることから弾圧を受けたりする人もいました。こうした多くの人たちが地中海を船で越え、イタリアへと流れ着いていたころです。
一時帰国し、卒業後の2017年9月に再びイタリアで大学院に進学しました。支援活動をしながら調査研究のため、難民が暮らす民間施設の運営に参加し、地元の人たちと難民の交流活動を担当しました。レクリエーションをしたり、お互いに得意な言語を教え合ったりすることで、現地になじむようにする取り組みです。
イタリアでの課題、解決に導く議論のあり方
――イタリアでの難民認定の…
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