5月に広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、各国首脳が広島平和記念資料館を訪れた。長崎であった保健相会合(5月13、14日)でも、公式プログラム外で各国の関係者らが長崎原爆資料館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を訪問した。何を見て、何を感じたのか。
19万人犠牲、事実伝える資料館 各国代表が見たもの
関係者によると、各国代表者らの訪問は直前まで施設側にも知らされていなかったという。
市の発表によると、5月12日にイタリアとインドの代表が、14日にはフランスとインドネシアの代表が原爆資料館を見学した。隣接する国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の高比良則安館長(66)によると、インドネシア以外の代表者は、祈念館にも訪れたという。
「核被害はずっと残っていく」という恐ろしさが、まだまだ知られていない――。高比良館長は保健相らを案内し、そう感じたという。
祈念館の「追悼空間」には、2022年7月までに亡くなった被爆者ら19万2399人の名簿が収められている。また、多くの人が犠牲になった事実を伝えるため、死没者のうち遺族などの同意を得られた約1万人の名前と写真を、館内の端末で見ることができる。
「知らないんだ」から「見て聞けば伝わる」へ
各国関係者と接した高比良館長。熱心に耳を傾ける姿に何を感じたのでしょうか。各国代表が「芳名録」に残した言葉は――。
顔や名前が公開されている人と、死没者名簿の数には大きな隔たりがある。子どもや孫への差別を恐れる人がいる――。そう説明すると、ある国の関係者から「ケロイドがないのに、なぜ差別されるのか」と問われたという。
「知らないことを責めるわけ…