ヤングケアラー相談窓口スタート 7割近く「相談経験なし」を受け

高木智子
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 群馬県は6月から、ヤングケアラーへのワンストップ相談窓口を始めた。ヤングケアラーとみられる小中高生の7割近くが相談をした経験がないことが、県の調査で分かったため。社会福祉士などの資格をもつ2人が相談を受け、各機関と連携して支援につなげていく。ヤングケアラーに特化した支援を県が打ち出すのは初めて。「どんな悩みでも、気軽に相談して」と呼びかけている。

 ヤングケアラーとは、幼い兄弟姉妹の世話をしたり、家族のために家事をしたり働いたりしていて、子どもらしく過ごすことができない状況に置かれている子のことで、全国的な社会問題となっている。

 県は昨年度、小6、中2、高2らを対象に初の実態調査をし、小中高生2万人以上から回答があった。3月に報告書を公表し、早期把握や支援のあり方を検討してきた。

 県によると、ヤングケアラーにあたる「お世話をしている家族がいる」と回答したのは、小6が5・7%(国6・5%)、中2が3・7%(国5・7%)、高2が2・9%(国4・1%)で計884人。いずれも国の水準より低かった。

 一方で、このうち「悩み相談したことがない」と答えたのは、小6が64・9%、中2が73・2%、高2が64・0%で計589人。全体の7割近くに及んだ。

 県は相談委託費として約1500万円を計上し、ヤングケアラーを支援するNPO法人「虹色のかさ」にワンストップサービスの運営を委託する。ヤングケアラー本人やヤングケアラーを見つけた人からの相談を受け付ける。

 まず、電話(090・1158・4140)で連絡をとり、訪問や面談を通して具体的な支援につなげる仕組みだ。スクールソーシャルワーカーや学校の先生を通じて、児童・生徒に周知していく。受付時間は平日の午前9時~午後5時。

 山本一太知事は1日の定例会見で、「ヤングケアラーの中には、勉強や部活、友人と交流する時間など、子どもらしく過ごせる時間を奪われている子たちもいます。周囲の大人が気づいて、手を差しのべ、子どもらしく生活できる環境を作ることが重要」と話した。高木智子

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