コンビニで電子マネー「30万円ほしい」 詐欺疑わない客に店員は

西堀岳路
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 高齢者に電子マネーを買わせる特殊詐欺を未然に防いだとして福島県警いわき東署は5日、ミニストップいわき泉町5丁目店の浜本典応(のりまさ)店長とアルバイト店員の鷺(さぎ)くみさん(39)に感謝状を贈った。説得に耳を貸さず電子マネー30万円分を購入した高齢者と会話を続け、パトカーが到着するまで引き留めた鷺さんの機転のお陰だった。

 市内の90代の男性が店を訪れたのは5月12日の夕方。店内にあった金額入力用のカードを鷺さんのいるレジへ持ってきて、「30万円分ほしい」という。携帯電話で何か話していたのに加え、「金額の入力方法も知らないのに多額すぎる」と怪しく感じた。SNSのニュースなどで、電子マネーを買わせる詐欺があることも知っていた。

 「何に使うんですか」「こういう詐欺もあるんですよ」。しかし男性は「大丈夫だ」の一点張り。異変を知らされた浜本店長は、警察へ通報、鷺さんは、できるだけ男性を引き留めることにした。ゆっくり入力機器の操作方法を説明しながら、「このへんにお住まいなんですか」などと会話をつないだ。

 「そんなに話のネタはないし、もうどうなるかと気ばかり焦って」と鷺さん。とうとう男性は金額の入力を終えると、カードを持って店を出て行ってしまった。そこへパトカーが到着。鷺さんは「あそこ歩いている人です!」と知らせた。間一髪、間に合った。

 もし間に合わなかったら――。その場合にも備えて鷺さんは、話の流れの中で男性が見せた通帳の表紙から名前も記憶していた。

 同署によると、男性は、NTTを名乗る男から未払い通信料金を電子マネーで払うよう指示されていたという。黒沢佳正副署長は「機転をきかせてくれたお陰で間に合ったようなもの」。鷺さんは「まさか自分がこんな体験をするとは思わなかった」と話した。(西堀岳路)

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