遠隔操作アプリを悪用して借金へと誘導 副業や投資の危険な勧誘

大村美香
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 遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘が目立ってきていると国民生活センターが注意喚起している。被害は20代が多く、人に言われるがまま目的や内容のわからないアプリを安易にインストールしないことが大切だという。

 昨年10月に地域の消費生活センターに相談した20代の女性は、スマホで副業を検索し、ランキングで上位にあった事業者のSNSに登録。千円のガイドブックを買って読んだがよく分からず、業者と電話で話したところ、遠隔操作アプリで画面共有をしながらFXの自動売買ツールの勧誘を受けた。約40万円に割り引くと言われて、画面共有したまま誘導され、貸金業者のアプリで50万円の借金を申し込んだ。

 こうしたトラブルの典型的な手口は、副業や投資などで高額収入を得るためのノウハウと称する「情報商材」を消費者に購入させた後、高額なサポート契約を勧誘、「お金がない」と断ると、遠隔操作アプリを悪用し借金をさせるパターンだ。

 被害にあった消費者は、相手から「説明のために必要」などと言われて遠隔操作アプリをインストールさせられているため、そのアプリが何であるか知らず、スマホが遠隔操作されるリスクを認識していないと国民生活センターは指摘する。事業者は遠隔操作アプリを使って消費者のスマホの画面を見ながら金の借り方について細かく指示を出すため、消費者は冷静になって考え直す時間が持てないまま、借金に誘導されるという。

 従来も副業や投資の勧誘で高額契約を持ちかけるトラブルはあったが、クレジットカードを使わせたり、貸金業者の店に連れていって金を借りさせたりといった方法だった。遠隔操作アプリを悪用する事例は2年ほど前から目立つようになってきているという。

 情報商材に関連してクレジット契約や借金を強要するトラブルの相談が2022年度は全国の消費生活センターに千件寄せられた。うち少なくとも100件が遠隔操作アプリ悪用の手口だという。

 もし、こうしたトラブルで貸金業者サイトに登録してしまった場合は、IDやパスワードを変更するなど悪用されないための対策を取るほか、消費者ホットライン(電話番号188)に相談するよう国民生活センターは呼びかけている。

 遠隔操作アプリは離れたところからパソコンやスマホを操作するもので、パソコンメーカーや通信事業者がユーザーサポートをする際などに利用される。

 情報処理推進機構(IPA)は、アプリを利用したサポートを受ける場合、遠隔操作を行う事業者名や連絡先の確認、アプリの名前、作業の内容や目的を確認し、信頼できる相手のみに遠隔操作を許可することが重要だとしている。万一、作業中に不審な動きがあって遠隔操作をすぐに切断したい場合は、機内モードにしたり、ルーターの電源を落としたりして、ネットワークを切断するよう勧めている。(大村美香)

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