職員のミスで救急車の到着遅れ2件 岡山・笠岡消防、搬送者は死亡

小沢邦男
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 岡山県の笠岡地区消防組合(同県笠岡市浅口市、里庄町で構成)は、救急車の現場到着が6~10分遅れるミスが昨年2回あり、いずれも搬送後に死亡が確認される事案があった、と8日夜に発表した。車両の盗難防止装置の誤設定や、間違った場所への出動指示があったという。組合はミスを認め、遺族に謝罪した。

 同組合によると、1件目は昨年2月5日に発生。風呂場で意識不明となった70代女性を救急搬送するため、119番通報を受けて笠岡消防署から出動しようとした。ところが、車庫内では解除されているはずの盗難防止装置が作動しており、解除に手間取って出動が6分遅れた。この日、署員が救急車内の空調を点検した際、運転席の足元の盗難防止装置のボタンを誤って押していたことが原因という。

 同12月17日には、40代の女性が意識不明との通報があり、応対した職員が住所地を十分に確認しないまま救急隊員に伝えた。救急車が指示された現場に到着したところ、誤った住所であることがわかり、そこから正しい場所にはさらに10分を要した。

 いずれも病院に搬送されたが、死亡が確認された。到着遅れと死亡との因果関係は不明という。組合はミスがあったとして、関係した職員と上司を口頭注意した。

 また、浅野善弘消防長は2人の遺族に謝罪。遺族に職員のミスを公表する旨伝えたが、「再発防止に努めるのなら」との意向を受けて公表しなかったという。組合は「ご遺族の意向を尊重する形で公表を見送ったが、ミスがあったのは事実。再発防止を徹底する」としている。(小沢邦男)

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