第1回「強い山屋になりたい」北大ワンゲル元主将 北海道分水嶺縦走63日
佐々木洋輔
《なぜ独りで山へ向かうのか。やっぱり強くなりたいのだ。ただ漠然と強い山屋になりたいのだ。この世界で生き抜くだけの力と自信が欲しいのだ》
北海道の宗谷岬から襟裳岬まで約670キロを独りで縦走した若き岳人がいる。
歩いたのは宗谷丘陵、北見山地、石狩山地、日高山脈。北の大地を背骨のように貫く分水嶺(ぶんすいれい)だ。暴風雪に見舞われながら稜線(りょうせん)を進み、一度も下山することなく、63日間かけて踏破した。
冒険家、野村良太(28)=札幌市。3年ちょっと前まで、北大生だった。
「ちょうど1年前のきのうが出発でした。あっ、まだお昼食べていないので食べながらでもいいですか」
2023年2月27日、北海道大学(札幌市北区)近くのファミリーレストランで会った野村は、税込み500円のハンバーグセットを頼んだ。
身長183センチ。細身だが…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら