15歳「どう生きるか」の選択 うらやまし過ぎる高専の熱い挑戦
くらし報道部・科学みらい部次長 岡崎明子
記者コラム「多事奏論」 岡崎明子
学生、うらやまし過ぎるぞ。
この春に誕生した「神山まるごと高専」は、ひとことで言うとそんな学校だ。
高専がある徳島県神山町は人口約5千人、高齢化率5割の過疎地で、コンビニも1軒しかない。この町に全国から44人が集まり、寮生活を送りながらテクノロジーとデザイン、起業家精神を学んでいる。校歌は、坂本龍一さんの最後の作品だ。
何がすごいかといえば、まずは私立校なのに学費がかからない。5年間で計1千万円の学費は、企業からの寄付100億円をもとにした基金の運用益でまかなう。毎週水曜日には名だたる起業家たちが講義に訪れ、夕食を囲み、夜まで話し込む。
15歳で入学し、卒業後に描いているキャリアパスは、就職3割、大学編入3割、起業4割と多様だ。学生の顔ぶれも多様で、高専や大学の理系で学ぶ女子の割合は平均2割ほどなのに、ここでは男女が半々だ。
つまり、経済的な理由で進学をあきらめなくてもいい、教師以外の大人からも世の中のことを学べる、偏差値の高い大学への入学や有名企業への就職を目指していない、ジェンダーバイアスの影響がない。
今の高等教育に足りないとされるものが、全部そろっているのだ。
こんな型破りな高専は、学生…
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