NHKコロナ報道がBPO審議入り 局の報告書「納得の答えない」
NHKの報道番組「ニュースウオッチ9」で、新型コロナウイルスのワクチン接種後に家族が亡くなったと訴える遺族の発言を、コロナ感染で亡くなった人の遺族のように取り上げたとして遺族側が抗議していた問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。小町谷育子委員長は「どうやって取材を始めたのか、なぜ団体(ワクチン接種後に死亡した人の遺族でつくる団体「繫(つな)ぐ会」)の方にアプローチすることになったのか、編集の段階でどうしてこれがスルーされたのか。(NHKから受け取った)報告書を読んでも納得するような答えがなかった」と述べた。
問題となったのは、5月15日に放送した約1分のVTR。コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられて1週間経ったのに合わせた放送で、「戻りつつある日常 それぞれの思い」のテロップを映し、コロナを巡る複数の人の発言を紹介。「少しずつ明るい未来へ」と締めくくる構成だった。
VTRには、ワクチン接種後に死亡した人の遺族で作る団体「繫ぐ会(ワクチン被害者遺族の会)」から遺族の男女3人も出演。それぞれ「遺族の人たちの声を、実際に届けていただきたい」「風化させることはしたくない」などと語ったが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族との説明はなく、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」といった紹介にとどまった。
NHKの稲葉延雄会長は5月24日の定例会見で「(放送は)全く適切ではなかった。取材に応じてくださった方や視聴者の皆様に深くおわび申し上げたい」と謝罪していた。(中沢絢乃)
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