「逃げきれた夢」 評・金原由佳 おかしみと哀愁 熟成会話劇
【評・映画】
先のカンヌ国際映画祭で、インディペンデント映画普及協会が作品選定するACID部門で選出された。二ノ宮隆太郎監督の長編4作目。過去の「枝葉のこと」や「お嬢ちゃん」で見せた、嚙(か)み合わなさを生かした会話劇は、光石研という映画出演歴45年の俳優を迎えることで、従来のおかしみに哀愁が加わり、二ノ宮の熟成を感じさせる。
二ノ宮によるオリジナル脚本で、主人公の末永周平は最初から光石を想定して書かれた。舞台は光石の故郷、北九州の黒崎で、光石の実父も登場する。二ノ宮が実父と親子役を演じた「枝葉のこと」の虚実交じった手法の上に今作の挑戦が重なっている。
末永は定時制高校の教頭で…
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