自社株買い過去最高、バブル後高値を演出 投資・賃金とバランスは?
山本恭介
日本企業が5月に発表した自社株買いの枠が3・2兆円を超え、月間での過去最高を更新した。自社株買いは株価上昇につながることが多く、日経平均株価をバブル後の最高値圏まで押し上げる大きな要因となっている。ただ、日本経済の持続的な成長には設備投資や賃金のさらなる増額も欠かせず、急増する株主還元とのバランスが問われることになりそうだ。
東海東京調査センターの集計では、上場企業が5月に設けた自社株買いの枠は計3兆2596億円で、過去最高だった昨年5月の3兆1277億円を超えた。自社株買いは本決算に合わせての公表が多く、毎年5月に集中する傾向がある。年間でも、過去最高だった昨年(約9・4兆円)を上回る可能性がある。
自社の株式を、自らの資金で市場から買い戻すのが自社株買いだ。その分だけ流通する株が減るので、1株当たりの価値が高まり、株価上昇が期待できる。
堅調な業績に加え、東京証券取引所の3月末の通知が、企業を自社株買いへと走らせている。プライム、スタンダード両市場の上場企業計約3300社に対し「株価を意識した経営」を要請。保有する資産の割には株価がさえない企業に、特に対策を促した。
株価引き上げ効果は一過性
収益力を高め、説得力ある成…