北朝鮮が人工衛星の打ち上げを予告した期間が11日午前0時で終わった。初日の5月31日に軍事偵察衛星を載せたロケットを打ち上げたが失敗し、その後、期間内の再打ち上げはなかった。ただ北朝鮮は、「できるだけ早い期間内に第2回の打ち上げを断行する」としており、今後も失敗した原因の究明などを踏まえて時期を探るとみられる。

 北朝鮮は5月29日、人工衛星を「5月31日午前0時から6月11日午前0時」の期間内に打ち上げると日本政府に通告した。朝鮮中央通信は、軍事偵察衛星を積んだロケットを5月31日朝に発射したが、飛行中に異常が起き、朝鮮半島西側の黄海に墜落したと報じている。

 北朝鮮が「早期」の再打ち上げをめざす方針を示したことで、韓国内などでは予告期間内の再発射の可能性を排除できないとの見方もあった。

 北朝鮮は2021年に示した国防力強化の5カ年計画で、軍事偵察衛星の運用による情報収集能力の確保も打ち出し、開発を進めてきた。ミサイル攻撃の精度を高め、抑止力強化につなげる狙いだ。

 北朝鮮はまた、軍事偵察衛星の打ち上げを国際海事機関(IMO)が非難したことに反発している。今後の打ち上げの際には事前通告をしない可能性も示唆しつつ、IMOの対応を見極める考えを示している。(ソウル=稲田清英)