「ノーモア メガソーラー」 福島市が宣言 景観悪化・災害など懸念

荒海謙一
[PR]

 これ以上望みません――。福島市は31日、山地に大規模太陽光発電施設(メガソーラー)を新設する計画に対し、そんな意思を表明する「ノーモア メガソーラー宣言」を発表した。市内では郊外の山地でメガソーラーの建設が相次ぎ、森林伐採などに伴う景観の悪化や災害の発生が懸念されている。宣言に法的拘束力はないが、意思を明確にすることで、市は抑制効果を期待している。

 宣言は「市民生活の安全安心を守り、ふるさとの景観を地域の宝として次世代へ守り継いでいかなければならない」とし、「設置計画には市民と連携し、実現しないよう強く働きかける」と踏み込んだ。

 市環境課によると、市内には出力1メガワット以上のメガソーラーが建設中の5カ所を含め26カ所あり、20カ所は県外事業者という。このうち、市西部の高湯温泉に近い山では、森林伐採後に山肌がむき出しになっている。市中心部からも見えるほどで、景観の悪化を指摘して「止められないのか」といった声も市に寄せられていたという。

 市は4年前、太陽光発電施設を設置する事業者向けに、法令順守や周辺環境と景観への配慮、近隣住民への説明などを求めるガイドラインも独自に策定し、行政指導も行ってきた。しかし、県の林地開発や農地転用などの必要な許可を得ていれば事業化が進み、歯止めにはならなかった。

 木幡浩市長は、宣言も「法的にストップさせられるものではない」としつつ、「市の意思を明確にし、市民とも情報を共有しながら、事業者には『入り口』で諦めてもらうようになればいい」と話した。

 一方、市は「脱炭素社会」の実現を掲げ、2050年度までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すとしている。木幡市長は「水力発電や一般家庭での太陽光発電など、地域と共存できる再生可能エネルギーを積極的に導入していきたい」と述べた。

 県内では、大玉村も19年に「大規模太陽光発電施設の設置を望まない」と宣言している。(荒海謙一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら