「社会の構造問題だと考えれば気が楽に」 竹田ダニエルさんのRe:

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藤えりか
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 「あなたが今、社会に対して感じている違和感は何ですか? それに対して当事者としてどう声を上げますか?」。米カリフォルニア在住のライター、竹田ダニエルさんの問いかけに、20代から70代まで幅広い年代の方々からおたよりが寄せられました。それを読んだ竹田さんの「Re:」は――。

 特に女性からは、年代を問わず、身近な職場での経験を踏まえた意見が届きました。

「おかしいと思うことを言葉に」 女性たちから声

 「『まずは、おかしいと思っていいというところから始めませんか』という問いかけが響きました」という20代女性は、「会議で私が意見を述べると、上司がそれをさえぎって大声で話し始め、対論を挟むすきを与えないように話し続ける、ということがよく起こります。建設的な議論のできない会議はおかしいと思います。この問いかけを受けて、仕事の場や、その他の社会生活の中で『おかしいぞ』と心の中で思い続けていることを言葉にしてみようと思います」とつづりました。

 中間管理職をしているという50代女性は、「違和感を感じたら、会議などで発言するようにしています。数年前よりは冷ややかな反応が減ってきました」。そうした、日々の実践につながる頼もしい声が寄せられました。

 ただ、日常で難しさを感じる意見も同時に届きました。「『おかしいぞ』と思うことを言葉にしようとしても全く言葉が出てこない。『おかしいと思う』ことにも訓練が必要なんだなと思いました」(20代女性)や、「地域で政治について意見を主張するのは、まだまだ難しい」(50代女性)といった悩みです。

 これに対し、竹田さんはこう語ります。

 「そういう方、すごくたくさんいますよね。『おかしい』って言わない人が多いから言えなくなるということもあると思います。よく、友だち同士でも『なんか雰囲気悪くなるからそれ話すのやめようよ』とか、『そんなことないんじゃない、考えすぎなんじゃない』とか、『怒ってもしょうがないよ』とか、『トクシック・ポジティビティー』に陥る人が結構多いと思います」

 トクシック・ポジティビティーとは「Toxic Positivity=有害なポジティブさ」。どんなにひどい状況でも前向きな姿勢や良い雰囲気を維持しようとする考えで、その結果、状況を矮小(わいしょう)化し感情を抑圧する懸念が指摘されています。

 竹田さんはこう言います。

 「トクシック・ポジティビテ…

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