質問できなかった市議、その時何が?娘が発熱、議長「時間なかった」

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戸村登 三宅梨紗子 松島研人
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 愛知県豊橋市の市議が、9月定例会の一般質問の順番を決める抽選に子連れで参加することが認められず、質問の機会を失った。子どもが高熱を出し、やむを得ず連れてきた結果、議会質問という重要な議員活動が制限される形となった。何が起きたのか――。

 抽選は8月30日にあり、1人会派の諸井菜々子市議(37)=1期目=は長女(2)を連れて参加しようとした。長女は未明から発熱。保育園に預けられず、病児保育や家族にも頼れる状況ではなかった。「とにかく参加しなくてはと、他の選択肢を思いつかなかった」。子連れとなったことを諸井氏はそう語る。

 抽選の15分前、近藤喜典議長や議会事務局に、短時間で抽選を終えられないかなどと相談。別室で子どもだけ待機との提案もなされたが、「一人で残すことはできない」と断って抽選に参加できず、結果的に一般質問に立てなくなった。

 約20年前に定めた市議会運営委員会の「決定事項」では、代理抽選についても定め、議員本人の病気などで議長が事前許可としている。諸井氏から代理について相談はなく、議会側から提案もしていないという。今回は「本人ではなく子の発熱」として、議会事務局の担当者は「適用は難しい」とする。

 1日に会見した近藤議長は「議運で協議する時間的ゆとりもなかった」「専決で決められるが一人で決めることは独裁的政治に当たる」などと、諸井氏の参加を見合わせた理由を説明した。

 市議の間では、今回の対応に様々な意見がある。ベテランの男性市議は「もっと早く相談すべきだった。自分が議長でも『まず病院に連れて行きなさい』と言う」と話す。別の男性市議は、議長の対応は不適切ではないとしつつ「議長判断で代理出席を認めるなど柔軟に対応し、質問の権利を保障して欲しかった」と語る。

さいたま市議会「質問できなくなることはない」 各地で異なる対応

 政策や地域課題、行政運営のあり方などについて、議員が民意を踏まえて首長らに問う一般質問は、重要な議員活動だ。各議会の会議規則が根拠とされ、全国の自治体で行われているが、質問の順番の決め方は、各議会が自主的なルールとして決めている。

 豊橋市議会では、議員がハン…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター次長)
    2023年9月14日14時0分 投稿
    【視点】

     9月1日配信の初報の記事にコメントした際、「男性の子連れも出てきたときにどう反応するのでしょう?」(ニックネームトミーさん)、「子育てのイレギュラーな出来事も理解できず、自分のこととして想像することもできなかったのでしょう」(ニックネーム

    …続きを読む