対がん協会賞に広瀬さん がん検診一元管理に尽力

小田健司
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 今年度の日本対がん協会賞に、福井県がん検診精度管理委員会幹事で広瀬病院(鯖江市)理事長の広瀬真紀さん(73)が選ばれた。広瀬さんはがん検診の受診率の向上や、誰でも同じレベルの検診を受けられるようにする活動に取り組んできたことなどが評価された。

 「候補になっていることすら知らなかったので、本当に驚いた。その分、喜びも大きかった」。広瀬さんは今回の受賞をこう喜び、笑みを浮かべた。

 消化器と乳腺を専門とする外科医の広瀬さんだが、乳がん検診がきっかけで、検診の世界に入った。2005年からは県健康管理協会のがん検診啓発委員長を務めた。「外科医が最後に行き着くところはがん検診」という考えも持っていた。

 がん検診やその精度の管理は通常、市区町村単位で行われる。当時の福井県は地域ごとの「検診格差」をなくすため、県全体で一元的な管理を行い、広瀬さんはその礎を築いた。県内市町の検診料をすべて同じにしてどこでも受けられるようにした。全国でも珍しい取り組みだった。

 「それが医療レベルの均てん化(平均化)にもつながった」と振り返る。精度管理委員会で一元管理して現場と意思疎通する中で、画像を撮ったり読み取ったりする力がついてくるからだという。

 医師向けの研修会も繰り返してきた。技術を持つ医師ががん検診に参加するような流れができるまでには、摩擦もあった。

 今もより精度の高い検診でいかにがんを見逃さないかについて、頭を悩ませ続ける。「対策型の検診は、感度(陽性を陽性だと正しく診断する率)と特異度(陰性を陰性だと正しく診断する率)の両方が高くないとだめ。それをいかに多くの医師に分かってもらうかが大切です」(小田健司)

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