ビッグモーター本社を家宅捜索 街路樹問題で器物損壊容疑 警視庁

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 中古車販売大手ビッグモーターの各地の店舗前の公道で街路樹が枯れたり、切られたりしていた問題で、警視庁と神奈川県警は15日午前、器物損壊の疑いで同社本社(東京都港区)の家宅捜索を始めた。捜査関係者への取材で分かった。

 同社を巡る一連の問題が表面化して以降、本社の家宅捜索は初めて。関連資料を押収し、街路樹問題での本社の関与を調べる。

 同社本社は、港区六本木6丁目にある六本木ヒルズ森タワーの20階にある。15日午前10時前、段ボールを持った捜査員30人余りが地下駐車場から入っていった。

 街路樹問題をめぐっては、神奈川県警が9月6日に県内の3店舗を、警視庁が8日に都内の9店舗を同容疑でそれぞれ家宅捜索した。この12店舗の前の植え込みでは、除草剤の成分が検出されたり、街路樹が伐採されたりしていた。

 警視庁捜査1課は、9店舗の捜索で草刈り機などを押収し、従業員らから任意で事情を聴いた。同社元店長らによると、同社では店舗や周辺の清掃状況などを本社側が訪問して定期的にチェックする「環境整備点検」が行われており、同課はこの慣行が街路樹問題の背景にあるとみて調べる。

 12店舗のうち川崎店(川崎市)では、街路樹のツツジ6株が伐採された。川崎市の発表によると、同社本社の「環境整備推進委員」から同店店長へ伐採の指示があり、店長から命じられた従業員が昨年10月に伐採した。本社の指示の理由は「環境整備のため」だったという。こうした経緯を川崎市は8月21日に明らかにしていた。

 同社によると、9月時点で店舗は全国に258店舗ある。除草剤の検出など街路樹の問題は、家宅捜索が入った12店舗以外でも相次いで明らかになった。国土交通省や各自治体が各地の警察に被害届を出している。

 警察庁への取材で、9月14日時点で、自治体などからの被害届は全国13都県で計34件が受理されていることが判明した。警視庁や各県警が器物損壊容疑で捜査している。

 同社では保険金の不正請求問題も浮上し、7月26日付で前社長と前副社長が辞任。和泉伸二・新社長は同25日の会見で、店舗での除草剤使用について問われ、「現時点でそういった指導はしていません」と話していた。

 除草剤の使用や伐採への本社側の関与について、同社の広報部門は15日、家宅捜索後の取材に「捜査に対しては全面的に協力してまいります」と返答し、詳細は答えなかった。

 国土交通省は7月28日、同社の全国34店舗の整備工場に道路運送車両法に基づいて立ち入り検査を実施し、不適切な整備がなかったかなどを調べている。金融庁は、保険代理店としての同社と損害保険ジャパンに対して、保険業法に基づく立ち入り検査を今月19日にも始める。

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