宮崎響(ひびき)さん(12)は、奈良県の生駒市立生駒北中学校で「ECC」というクラブに所属している。それぞれが好きな文化系の活動をする部活動だ。ふだんから「つばさ文庫」や「青い鳥文庫」を読みふける響さんは7月、クラスメートの大西寧音さん(12)と並んで、交代で物語を書き連ねていく「交換小説」に没頭していた。
題材は、高校生の恋愛。ジョイスティックをあごで操り、ノートパソコンに文字を打ち込んでいく。途中で寧音さんがパソコンを自分の机に移して続きを書き足していった。
「いきなり連絡先交換は無理かな? 早いかな?」と寧音さん。「いや、イケると思う。あとご飯も誘って……『ご飯いきませんか?』って」と返す響さん。筋書きを相談しながら、2人で笑い合った。
寧音さんによると、響さんは転校してきた小学3年生の頃から明るく積極的だった。「授業中でも、先生に意見聞かれると、だいたい響が一発目に『ハイッ』って」
寧音さんの母は、家で楽しそうに響さんの話をする娘の姿を覚えている。「私も『転校生と仲良くなったんだ、よかったねえ』という感じでした。響ちゃんの病気はほぼ話題に出ないから、最初は気づかなかったくらいで」。参観日で学校を訪れるまで、教室での響さんの様子も具体的には知らなかったという。
小学校の卒業間近だった今春、響さんは数人のクラスメートと一緒に卒業記念の動画を作った。全員にそれぞれの幼い頃の写真を募り、響さんがいまの写真と音楽を組み合わせて編集した。最後の参観日では、それを親たちの前でサプライズとして流したという。寧音さんは「人を楽しませることが好きな響らしいアイデアだな、と思いました」と振り返る。
記事の後半は、自宅で看護師さんたちに介助を受ける様子を動画でも紹介します。
「障害者である前に、一人の子ども」
響さんの父、昌明さん(56…
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