命さえ奪うアカハラ 「いじめっ子」をのさばらせぬための対策は
記者コラム「多事奏論」 岡崎明子
上司は仕事ができる業界の有名人だ。ただ残念ながら、部下の育て方を学んでいない。「仕事が遅い」と罵倒したり、指導を放棄したり。成果を横取りされたこともあった。勇気を出して相談窓口に行っても、「あなたにも悪いところがあったのでは……」と言われておしまい。
私のことではない。こんな理不尽なことが起きても表沙汰になりにくく、ハラスメントが横行しやすい業界。大学などアカデミアの世界で起きていることだ。
なぜか。教授は論文投稿の可否を始め、研究費の采配など、研究者の生殺与奪の権を握る。一般企業の上司と部下の関係に比べ、圧倒的な力の差がある。教授同士は互いに干渉しない文化もある。
そして数々の業績を挙げてきた教授がハラスメントの加害者となった場合、大学側が教授を守るか、被害を受けた格下の研究者や学生を守るかと問われれば……。おのずと答えは出る。
優位な立場にある教授らが、教育や研究の現場で嫌がらせをする「アカデミックハラスメント」は、英語では「Academic Bullying(いじめ)」と言うことが多い。アカハラに関する欧米発の論文や記事は数多く、一流誌がこぞって採り上げている。欧米の方がアカハラが多いわけではなく、人権意識の違いや、アカハラの弊害に敏感という合理性が根底にはあるのだろう。
たとえば今年2月、「アカハ…
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