「芸予型」フェリー、最後の1隻が引退 11月に名残惜しむツアー
広島、愛媛両県の間の瀬戸内海にある芸予諸島を巡ってきたフェリー「第八おおしま」(253トン)が引退することになり、11月に航路をたどるクルージングツアーがある。かつて島づたいに多くのフェリーが行き交った時代の主役だった船の1隻で、今では珍しい形態という。
フェリーの前側からしか車両が出入りできない「単頭式」。建造費が比較的安く、浮き桟橋があれば荷役ができるメリットがあり、本四架橋の開通前に全盛期を迎え、瀬戸内海全域で活躍した。
中でも、造船のさかんな芸予地域で1970~90年代に建造されたものは「芸予型」と呼ばれた。しかし、車はバックで乗船しなければならず、次第に前後どちらからも車の出入りが出来る「両頭式」のフェリーに取って代わられ、本四架橋の開通もあって急速に減少したという。
「第八おおしま」は90年に内海造船田熊工場(広島県尾道市)で「第五愛媛」として建造され、芸予観光フェリーの因島・土生(同)―今治(愛媛県今治市)間の定期航路に就航。99年のしまなみ海道開通後も同じ航路で運航を続けたが、伯方島(同)―土生間に短縮。イマダイコーポレーション(同)に移籍して「第八おおしま」と船名を変えて大島・下田水(しただみ)(同)―今治間の定期航路に使われ、現在はチャーター船となっている。「芸予型」では最後の1隻という。
ツアーは11月5日に予定され、今治港を午前10時に出て因島に向かい、午後4時半ごろに戻る。途中、弓削、岩城、生名、伯方の各島と佐島(いずれも愛媛県)にも寄港する。
企画したドルフィン企画(広島県呉市)の岡本壮弘社長は「クルージングは新造時の定期航路をなぞるコース。しまなみ海道の開通以前の懐かしい船旅を思い出してほしい」と話し、参加を呼びかけている。
定員190人、昼食付き5千円。途中乗船、下船可。申し込みはフジトラベルサービス東予支店(0897・58・2860)。(福家司)
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