映画監督は北米の先住民族を訪ねた サケ漁から考える「日本の宿題」
上保晃平
日本では認められていないアイヌ民族の「先住権」を考えようと、ドキュメンタリー映画監督の影山あさ子さん(59)は北米に撮影の舞台を求め、飛んだ。サケを捕って暮らす先住民族を取材し、日本で暮らす私たちが長年積み残してきた「宿題」に向き合いたいと考えている。
兵庫県出身の影山さんは約40年前、北海道大学への進学を機に札幌市に移り住んだ。その頃、アイヌ民族の生活の跡が大学周辺で次々と見つかり、構内にも大学が収集した遺骨を保管する「アイヌ納骨堂」が建てられた。
和人がアイヌ民族の土地を奪い、生活を壊していった歴史の上に現在があると実感して「ずっと後ろめたい気持ちがあった」。
全国各地の基地反対闘争を描いた「Marines Go Home」(2005年、藤本幸久監督)で初めて映画制作に関わった。沖縄米軍基地問題や福島第一原発事故など「日本で生きていく以上、賛成でも反対でも意見を持たざるを得ない問題」をテーマに取材し続けてきた。
アイヌ民族にも「いつか私たちの問題として向き合いたい」と思っていた。そして、コロナ禍で空いた時間に勉強をするなかで「先住権」という言葉を知った。
2020年、道内のアイヌ民…
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