「授業を改善するために、みんなの脈拍のデータを取ってきました。緊張したり眠かったりした授業の後は自分のデータを見て、『次はもっと集中してみようかな』『もっとリラックスしようかな』と思ってくれるようになるといいですね」
埼玉県東部にある久喜市立鷲宮(わしのみや)中学校。1年3組の教室で7月、青木真一校長が生徒に話しかけた。喜ぶ生徒もいれば、「やだあ」と反応する生徒も。このクラスでは、生徒約30人が左手首に着けたリストバンド型の端末で脈拍を計測し、授業中の「集中度」を測定する実証研究を5月から行っている。
子どもの「集中度」を見える化
生徒の集中度は、教員の端末に即座に反映され、一人ずつ波形のグラフが表れる。波の振れ方によって集中の度合いが分かるといい、波が上に振れるとリラックスや眠気を催しているとされ、下に振れると緊張やストレスを感じているとされる。授業に一番集中できるのは、このリラックスと緊張の状態がどちらかに偏らずに適度に繰り返される状態だという。教員は、授業後や放課後にこのデータを確認し、授業の進め方と子どもの集中度の関連性などを見て自分の授業を振り返る。
授業中の子どもの集中度などをデータで可視化し、授業改善につなげる試みが学校現場で出てきている。収集されるデータは脈拍や血流など。記事後半では、こうしたセンシティブなデータの取り扱いや、子どもの同意などについて、識者に聞いています。
元国立健康・栄養研究所研究…
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