[PR]

 JR町田駅、小田急町田駅から北東へ。両駅いずれからも徒歩約10分強の距離に新緑が映える芹ケ谷(せりがや)公園がある。中にたくさんの自転車が置いてある場所があった。

 見上げると、ひらけた小高い竹と雑木の林。せりがや冒険遊び場、通称「せりぼう」だ。

 遊具がたくさんある。よく見ると既製品はない。ブランコは、生い茂る竹を椅子部分に使用。滑り台も竹を7本並べ作ってある。

 4月下旬。市内から来た母(43)、長男(4)の母子は手作りのロープの橋で遊んでいた。「お金を払えば何でも手に入る時代。手作りでもいろんな遊びができると子どもに伝えたくて」と母。長男は記者を誘い、頭から滑り台に飛び込んだ。落ち葉を皿に、どんぐりをごはんに、即席のままごとも。生き生きしている。

 大型連休。小学生の頃から通っている矢口渉君(12)と福沢和滉君(12)の中学1年コンビは、火を使って竹を焼いていた。竹を焼くと油が出て磨くと表面がぴかぴかになると言い、近くの小川ですくった小魚の魚籠(びく)にするという。

 2人の言葉が印象的だった。「家でのゲームも楽しいけど、すぐ飽きる。でも、ここでは飽きたらすぐ別の遊びを見つけられる」

   ■   ■ 

  

 子どもの「やってみたい」思いを大切にしようと2014年9月に開園した。設置者は市で、NPO法人「子ども広場あそべこどもたち」が運営している。プレーリーダー(PL)と称する責任者が常駐。側で子どもたちを見守り、時には遊びの相棒にもなる。

 火は使ってはいけない。ボール遊びも禁止……。そんな制約が多くなった公園や家の近所での子どもの遊びに疑問を感じた市民有志が、町田市成瀬の私有林を地主の厚意で借り、自分たちでうっそうとした竹林、雑木林を下草刈りなどして整備した「たぬき山」が始まり。1999年のことだった。

 せりぼうのPLの「うさぎさん」こと岡本恵子さん(63)は、たぬき山を運営していた市民グループの初代代表だ。都市化が進み、交通事故や不審者への心配から、管理の目が遊びの機会を奪った時期。遊びは大人から画一的に提供され、子どもは遊んだ気に。「できるだけ規制のない遊び場が必要。子育て中の親同士が話せる場も欠かせない」。そんな思いで、周囲の仲間と準備した。

 子どもたちは竹を切り、ロープを結び遊具をつくる。竹を登って高いところまで競争。虫や花と出会い、かまどの火で季節の味を楽しむ――。現せりぼうは、たぬき山から場所を移転し“新装開店”したが、スタイルは変わらない。

   ■   ■   

 町田市によると、17年に0~14歳の転入数が転出数より多い自治体(政令指定市は区ごと)で町田は全国3位。16年は1位だった。

 「遊び場の選択肢が様々ある」(市児童青少年課)のが強みで、屋外で楽しめる「冒険遊び場」は受け皿となる市にとって大事な施設だ。ほかに市内2カ所あり、NPOなどに375万~450万円(年額)を補助し運営する。せりぼうは年間約3万人が利用する。

 せりぼうを運営するNPOの代表大野浩子さん(50)は、たぬき山時代の利用者の一

人。長男が幼稚園に入る前の頃に遊びに行った。長男はたぬき山に行くと見違えるように泥だらけで遊んだ。息子をしかることが多かった自分も落ち着けた。「夢中になった」

 市の補助金はPLの人件費に消え、手弁当で何とかやっている状況だ。JTなどの企業団体のNPO助成事業を活用し、屋根付き懇談場所を建てたり、運営費を捻出したりと工夫する。「約束しなくても、一人でも、気の向くまま出かければ好きに遊べる場所。そんな居場所を継続させたいから」

(木村浩之)