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世界遺産の平等院や宇治上神社、宇治川にかかる宇治橋――。そんな京都府宇治市中心部の観光地の光景が、最近、ちょっと変わった。4月下旬に、観光人力車が登場したのだ。

 5月半ば、宇治橋から宇治上神社方面に向かう新緑に包まれた道を、女性2人を乗せた人力車が進んでいた。「宇治では、ぜひ玉露を飲んでみてください。ぼくも飲んでびっくりしたんです」。車夫の河野将也(まさや)さん(25)は、そんな話をしながら早足で車を引く。そして、時々停車して、名所の説明をする。

 娘と一緒に宇治を訪れ、JR宇治駅近くから人力車に乗った東京都江東区の女性(69)は「いろいろと説明していただけるのがありがたい。視線が高くなって、お公家さまになったような気分です」と話した。

 人力車を走らせているのは、1992年に京都・嵐山で創業し、北海道の小樽や函館、広島、大分・湯布院など全国に観光人力車を展開する「えびす屋」(総本店・嵐山)。宇治は11店目で、4月21日にオープンした。

 宇治市内の人力車は6台ほど。7人の車夫がいて、数人が研修中だ。研修では、幅メートルほどの人力車の取り扱いや接客の方法、宇治の地理、神社仏閣の知識、さまざまな店の情報などを学ぶ。「安全に運行するのが第一。最低でも1~2カ月は研修に費やします」と、宇治での立ちあげに携わる、えびす屋副課長の柳澤一幸さん(35)。

 商店主や観光地の関係者らの人力車への関心は高いようだ。ただ、期待と歓迎の一方で、交通への影響を心配したり、「宇治らしさ」を求めたりする声もあがっているという。

 えびす屋では、できるだけ交通の妨げにならない運行ルートを選び、人力車を待機させる場所も借りた。仕事場である宇治のまちへの感謝も大切だと、普段のあいさつと、始業前と終業後の清掃活動は欠かさない。柳澤さんは「地域の人に認められるよう、努力を続けていきたい」と話す。

 宇治でのオープンにあわせて東京・浅草のえびす屋から応援に来ている竹田翔さん(26)は「『調子どうや』などと声をかけてくれる人も多い。宇治は、ずばぬけてあたたかさを感じる」と話す。

  JRや京阪の宇治駅近くを出発して、世界遺産・宇治上神社に参拝し、宇治川右岸の興聖寺で折り返すなど、いくつかのモデルコースの設定もある。宇治川上流の天ケ瀬ダムや、三室戸寺、萬福寺まで行くことが可能。2人の貸し切り料金は、30分9千円、1時間1万7500円など。問い合わせは、えびす屋宇治店(0774・22・7322)。

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 次回は花の寺として知られる三室戸寺です。(小山琢)