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 ◆困難を伝えて開けた道 

 都内の私立通信制高校(通学コース)3年の武井一星(いっせい)さん(17)には、読み書き障害(ディスレクシア)がある。文字を手で書くと形が整わず、枠からはみ出る。書いた文字は判読が難しく、時間もかかる。文字を正確に読むことが難しく、意味の理解につながらない。

 

 だが、大学には進みたい。

 これまでも壁にぶつかりながらも、実績を積んできた。東京大が障害のある子の進学や就労を支援するために開いている「DO―IT Japan」に中1の時に参加して「自分の困難さをきちんと伝えること」を学んだのを機に、その年の12月、学校で先生たちにプレゼンテーションした。「書くことも読むことも苦手です」「タブレット端末を使わせて欲しい」……。わずか数分の内容に対し、先生たちの議論は何時間も続いた。「書くことをあきらめるのか」「苦手を克服しなさい」「特別扱いになる」……。

 冬休みが明けても、学校から回答は出なかった。ほかの精神的負担も重なり、一時は不登校になったが、中1の3月にタブレットの持ち込みが認められた。中2になってからは定期試験や授業でも様々な配慮を受けられるようになり、ほぼ毎日登校できた。

 

 「いじめもあり、自分はずっと人並み以下だと思っていた。でも、自分から行動しないと始まらない」と振り返る。

 配慮を受けて見えてきたこともある。人による代読だと緊張して、うまく頭に入らない。拡大文字より音声読み上げの方が効果的だが、読み上げソフトには相性がある。数学や物理はパソコンだと解答に時間がかかる。

 高校では得意なプログラミングを生かし、自分なりの勉強方法も見つけた。試験の出題ポイントとなる予想問題を4択で自作し、ボタンで解答するアプリを作り、成績を伸ばした。

 「いまは友達から『次の問題いつできる?』と聞かれて大変です」と笑う。

 2016年4月に障害者差別解消法が施行され、大学入試センター試験などの公的な入試では障害がある人への「合理的配慮」が義務づけられた。現在はAO・推薦入試を狙っているが、センター試験で配慮申請を出す道も開けた。

 今年8月にはロボットコンテストの全国大会で部門優勝し、11月にタイで開かれる世界大会にはキャプテンとして出場する。「好きなことをどんどんやっていくのが一番。そのためは勉強も大切だから、勇気をもって自分から話し合って欲しい」

 (宮坂麻子)

武井さんが中学時代に受けた主な合理的配慮 

 <定期試験>

 問題・解答用紙の拡大(中1~)

 問題・解答用紙をPDF化し、パソコンで解答入力(中2~)

 問題文をパソコンで音声読み上げ(中2~)

 国数英理社は15分時間延長、他教科は10分延長(中3~)

 別室受験(中3~)

 <授業や行事>

 

 デジタルカメラでの連絡事項の撮影(中1~)

 タブレットをノート代わりに使う(中2~)

 ノイズキャンセル付きヘッドホンの使用(中2は文化祭のみ、中3~常時)

 作文、リポートはパソコンで作成(中3~)

 授業の配布プリントを本人がタブレットで撮影して使う(中3~)