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 デイサービスに通う高齢者の有償ボランティア活動が盛んになっている。厚生労働省は利用者の自立支援のため、自治体に注意点を連絡するなどして活動を後押ししている。京都市にある福祉施設では木製品作りを始め、出来上がった商品が10月から雑貨店に並んでいる。いくつになっても主体的に働いて社会とのつながりを持ち続けてほしい、という施設の思いが実現した。

 京都市西院老人デイサービスセンター(右京区)では、毎週月曜日の午後、70~90代の女性6人が作業をしている。「出勤簿」にハンコを押してから、まな板とカッティングボードになる木材をやすりで磨き上げる。木目にそって、3種類の紙やすりを使い、1時間。うっすら汗をかくほどだ。

 1枚を仕上げるのに3日間かかるため、月曜の作業日以外にも進んで作業をしている。右京区の小川博子さん(85)は「一生懸命磨いて『ええ子になれ』と思ってやっている。つるっとしてくるとうれしい」。柳瀬喜美子さん(81)も「力がいる仕事。達成感がある」と話した。作業療法士の田端重樹さん(40)は「最初は不安な感じだったが、自分たちのやり方を見つけ、納期まで気にしてくれるようになった」と話す。

 京都市西院老人デイサービスセンターは、認知症や足腰が弱くなった高齢者約120人が通所し、歌や手芸などレクリエーションや旅行を楽しんでいる。その中で木製品の製作・販売に乗り出した理由を、センターの河本(こうもと)歩美所長(46)は「介護が必要になっても、認知症になっても、社会とつながって出来ることがいっぱいあることを、本人にも周りのひとにも知ってほしかった」と話す。ブランド名を「sitte」に決めた。

 企画プロモーション会社「エーゲル」(右京区)に相談し、地元の材木店から材料を仕入れることにした。準備を進めているさなかの今年7月、厚生労働省が介護サービス事業所における地域での社会活動について、全国の自治体に事務連絡を出した。全国の福祉団体から多く問い合わせがあった労働基準法との関係について、活動は労基法に基づく「労働」に該当するかどうかや、謝礼の受領に関してまとめた。

 それを受けて、8月から製作をスタートした。1回目の納品は6種類で18枚。10月20日から、寺町商店街にある雑貨店「mumokuteki(ムモクテキ)」(中京区)で販売している。三重県産ヒノキのまな板は9500円、南米産シャムガキのボードは5500円と8500円(いずれも税別)。

 店を訪れた海老(えび)愛子さん(90)は「並んでいるのを見て立派だな、と思った。つやが出るまでやらないといけないから、手がかかった。それだけに愛着を感じる」。

 先日は「勤務日」を「休業」し、謝礼を使ってみんなでmumokutekiのカフェにケーキを食べに行った。売れ行きが良くて、2回目の納品は3日の予定だ。(本多由佳、徳永猛城)