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 ◆全日本障害馬術 相棒歴3カ月 絆深め疾走

 昨年11月にあった「全日本障害馬術大会」の最上位クラスで部門優勝したのは、「乗馬クラブクレイン東京」(東京都町田市)所属の森裕悟さん(35)だった。大学生時代の優勝経験者も、社会人になってからは結果を残せない時期が長く続いた。それでも馬に愛情を注ぎ続けてつかんだ復活。次の目標は五輪だ。

 障害馬術は、コース上に設置された障害物を飛び越しながらミスなく速く走ることを競う種目。障害物の高さで大障害A・B、中障害A・Bなどに分かれる。森さんは今回、兵庫県で催された大会の中障害B部門に予選から臨んだ。

 11の人馬による優勝決定戦では最終走者で、スタート前はほかの選手の結果に動揺し、仲間の応援に緊張した。だが「馬場に入ったら自分の世界に入れた。雑念が消えた」といい、最速タイムで駆け抜けた。

 オグリキャップ、トウカイテイオーなど競馬の馬が好きで、中学1年生から本格的に鞍上(あんじょう)にまたがる。千葉市の乗馬クラブに都内から通い腕を磨いた。だが中学時代に病気で父を亡くし、高校時代までは費用がかかる競技会に出られないことも。進学した専修大学では、馬術部に所属。厩舎(きゅうしゃ)の上に寮がある恵まれた環境で、4年時には学生王者に輝いた。

 2006年に同乗馬クラブに入社したが、慣れ親しんだ馬で戦う学生時代と違い、様々な馬を相手にする社会人の世界では調子が狂った。約10年、レベルの高い大会に出場できず、有能な馬も回ってこない。

 それでも、根っからの馬好きで、地道に練習を続けた。馬にケガをさせないことを考えながら乗り、イライラすると馬にも背中を通じて伝わるため平常心を心がけた。次第に自分に合う、スピードのある馬と出会う好循環も生まれた。

 人馬一体が欠かせない馬術では長く接した馬との方が良い成績につながる。ただ、今大会の相棒「ファンタジスタ」は、乗っていた同僚選手のケガで3カ月前にコンビを組んだばかりだった。それでも持ち前の馬に寄り添う姿勢で短期間で信頼関係を築けた。

 目標は20年東京かそれ以降の五輪。「選手生活が長い競技。コツコツと努力しもっと高みを目指す」

 (木村浩之)