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 ◆星槎国際高校立川学習センター

 ブロックを積み上げて建築物や街を作る「マインクラフト」(マイクラ)というオンラインゲームがある。川崎市の高1、吉田柊羽(しゅう)さん(16)は小5の時、友だちの家でやって夢中になった。マイクラの世界で生きているような気持ちになり、中1の夏休み後は、学校に行かなくなった。

 不登校の生徒らが通う同市の適応指導教室に通っていたが、中2の冬から、東京都立川市の通信制高校「星槎国際高校立川学習センター」のフリースクールに通い始めた。最初は教室に入れず、誰とも話をしなかったが、学校側は職員室で先生の隣の机でマイクラをやることを認めた。「まずは学校に通えるようになることを大事にした」と話す山下峻センター長(32)は、好きなゲームを否定せず、「出来ることから取り組む」教育支援計画を作った。

 この学校では、廊下の壁に向かって机が置いてあり、ほかの生徒と顔を合わせずに、安心して勉強や本を読むことができる。吉田さんは次第に職員室から出て、廊下の机でマイクラだけでなく、勉強もするようになった。廊下ならば、話したくなれば自然に声をかけ合いやすく、マイクラを語り合える友だちができた。中3になって、先生が「同好会を作らないか」と持ちかけた。最初は2人で始めたが、居場所が出来た喜びは大きかった。次第に人数も増えた。

 学校では毎年10月、部活や同好会の活動費を集めるための「生徒活動活性化プロジェクト」というイベントがある。マイクラを本格的に楽しむためには、3千円の有料アカウントが必要だ。吉田さんは昨年、保護者や先生の前でマイクラの面白さを伝え、活動費を求めた。

 吉田さんは大勢の前で堂々と訴えた。「僕はマイクラのおかげで友だちができ、学校にも来られるようになりました。いま、学校に来られない仲間も参加できる。僕たちはマイクラを通して、人助けがしたいんです」。大きな拍手が起き、投票結果は断トツの1位。お願いした通り、10アカウント分の3万円の活動費が支給された。

 吉田さんは現在、週5日学校に通い、教室で授業を受けている。学校説明会では、マイクラ体験教室を取り仕切る。山下センター長は「小さな成功体験を積み重ねて認められると、心に余裕ができる。面談を繰り返しながら、できることを探せば、必ず変わっていく」と語る。

 (平岡妙子)