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 薩摩焼の宗家である沈家15代の沈壽官(ちんじゅかん)さん(59)=鹿児島県日置市=の襲名周年を記念する個展が30日、京都市下京区の京都高島屋美術画廊で始まった。華やかな香爐(こうろ)から、落ち着いた味わいの「黒薩摩」と呼ばれる茶道具まで新作70点ほどを紹介している。

 鹿児島県に生まれ、大学を卒業後に京都とイタリアで陶芸を学んだ沈さんは、1999年に39歳で15代を襲名した。沈家は朝鮮半島にルーツがあり、自ら「父祖の地」と呼ぶ韓国のほかフランスなど各国で展覧会を開いてきた。

 1ミリほどのごく細かな網目模様を白い焼きものに表現する「透かし彫り」と呼ばれる超絶技巧を駆使する精緻(せいち)な表現の一方で、リスや猫といった小さな生きものの姿を愛らしくかたどる温かみも感じさせる。金の絵の具による文様は、華やかながらも華美ではない。

 沈さんの広報担当者は「沈家は420年を超える陶芸の歴史を誇り、明治時代に欧州で紹介されると『象牙のよう』と驚かれた。そうした明治の超絶技巧を引き継ぎつつ、15代の作にはユーモラスな味わいもある。襲名から20年を迎えた幅広い作風を楽しんでほしい」と話している。

 「襲名二十周年記念 薩摩焼十五代 沈壽官展」は2月5日まで。入場無料。問い合わせは京都高島屋(075・221・8811)へ。(森本俊司)