[PR]

甘さと辛さ楽しむ本格派

 本格的な担々麺が味わえる店と聞いて訪れた。赤いのれんをくぐると、若い中国人夫婦が元気よく迎えてくれた。

 

 さっそく担々麺を注文。鮮やかなオレンジ色のスープとスパイスの香りが食欲を刺激する。口に運ぶと「花椒(ホアジャオ)」のシビレ感とまろやかなゴマの風味が広がった。具は甘辛く炒めたひき肉、モヤシなどいたってシンプル。縮れ麺はスープと絡み合って相性抜群だ。店主の曹俊(そうしゅん)さん(35)は「甘さと辛さと香ばしさを楽しんでほしい」と語る。

 

 麺料理と一緒に大半のお客さんが頼むのが、150円で追加できるから揚げとチャーハンのセットだ。「ほとんど利益は出ないが、満腹になって帰ってもらいたいから」と曹さん。特にチャーハンは「最も火加減が試される」と自信たっぷりの一品だ。

 

     *

 

 中国南部の江西省出身。残留孤児だった祖母の帰国に合わせて16歳で来日し、「食べ慣れた中華料理で生きていく」と大阪の「蓬莱(ほうらい)」本館などで修行を積んだ。夜には中国で買い込んだ料理本を読み込み、和食や洋食の店でも経験を重ねた。「先人たちの知恵が詰まった、すごく奥深い料理なんです」。中国への一時帰国中に出会い結婚した妻の張芹(ちょうきん)さん(33)と2人で2017年7月に店を開いた。

 

 当初は本場の手延べ麺を生かした専門店を開く予定だった。16年には中国・甘粛省(かんしゅくしょう)にある100年続く手延べ麺の店で約1カ月修業した。だが日本では気候の違いからか思うような麺の食感が出せず、国内外の数十種類の小麦粉を使って試作を重ねた。

 

 開店日が近づくなか、辛い料理が好きだったことから看板メニューを担々麺に決めた。「手延べ担々麺」はオープンから3カ月後に完成。小麦粉の産地は明かせないというが「スープは同じでもさらにおいしい」と曹さん。注文を受けてから生地をこねるため提供に時間がかかるが、夜のみ限定10食、売り切れ必至のメニューだ。

 

 店名の「申手延麺(しげるてのべめん)」には、日本と中国のいいとこ取りをした料理を提供したいと「日」と「中」が重なる「申」の字をつけた。「日中友好を願っています。料理にしても店をやっていくにしても、力を合わせると良いものができる」と願いを込める。

 

 退店時には夫婦で「おおきに」と見送ってくれる。その笑顔に、おなかだけでなく心も満たされる。

 ◆人気メニューベスト3

 (1)担々麺 750円=写真

 (2)正宗麻婆麺 720円

 (3)手打ち餃子 350円

 (いずれも税込み)

 <申手延麺(しげるてのべめん)>堺市堺区大浜北町3の4の6。南海本線堺駅から徒歩7分。営業時間は11時半~14時半。金土日曜は17時半~22時も。月曜定休。カウンター8席、テーブル8席。禁煙。電話072・242・4474。