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 ◆公務員宿舎退去巡り

 東電福島第一原発事故による自主避難者で、都内の国家公務員宿舎に未契約のまま住み続ける5世帯に対し、福島県は9日、明け渡しと賃料支払いを求めて提訴する方針を決め、県議会に承認を求める議案を提出した。可決されれば年内にも提訴する方針で、提訴対象となる50代男性は「避難生活の心労で障害者手帳を取得した。訴えられることで、ますます不安になっている」と話した。

 国が設定した避難区域外からの避難者への住宅の無償提供は、2017年3月末で終了。福島県は通常の家賃を支払えば19年3月末まで住むことを認めたが、5世帯は契約せず、各世帯は家賃(月約1万6千~6万円)と駐車場使用料を払っていない。県は2年間分の賃料相当額として各世帯50万~200万円、計約600万円の支払いを求める。提訴対象の1人は、いわき市で通訳などをしていた50代男性。2013年に甲状腺クリーゼで入院。持続性気分障害にもなった。「障害で働けない。次の住居が決まれば支払いのめどがたつので待ってほしい」と県に訴え、都営住宅に8度申し込んだが落ち続けた。医師に「安定した住居が得られれば、簡単な労働は可能」と診断されている。

 避難者の当事者・支援団体「ひなん生活をまもる会」は「社会的・経済的にも宿舎を出られない」として県議会に議案を可決しないよう求める要望書を出している。

 (飯沼優仁、関根慎一、青木美希)